サウダーヂ

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 “Saudade“

 日系ブラジル人でも一言では説明できないポルトガル語。郷愁、情景、憧れ、追い求めても叶わぬもの。

 山梨県・甲府。人通りもまばらな中心街、シャッター通り、崩壊寸前の土木建築業、派遣労働者、そして日系ブラジル人をはじめとする様々な移民たち。人々は、泥臭くも必死に生きる。生きていかなければならない。

 ヒップホップグループのクルー・猛は、派遣で土方として働き始める。猛の両親は自己破産しパチンコに逃避、家族にかつての面影はない。
 建設現場には日本人だけでなく、多くの日系ブラジル人が働いていた。そんな中、猛は、現場で精司やタイ帰りだという保坂に出会う。仕事帰りに連れて行かれたタイパブで、楽しそうな保坂達に違和感を覚え、外国人を敵視する猛。「北鮮のやつらがパチンコで搾取してやがる!」。

 一方、精司の妻でエステ勤めの恵子は、セレブな客・由美に誘われ、華美な世界にのめり込んでいく。怪しげな商売に手を染め始める恵子。恵子にイラ立ち、タイ人ホステスのミャオにのめりこんでいく精司。
 追い詰められ、廃業する下請け。この街に見切りをつけようとする保坂。

 不況が深刻化し、真っ先に切られる日系ブラジル人たち。住み慣れた日本を離れ、遠い故国にあてもなく帰るしかないのか。彼らは働き、子どもを育て、この国で生きてきた。彼らの故郷はこの国、この街なのだ。無視される叫び。すれ違い、交差する思い。
 苦難を忘れる、つかの間の喜びのとき、彼らは集い、歌い踊る。その移民たちの交歓の輪の中に、猛のかつての恋人、まひるがいた。
 彼らとの共生を信じる、まひる。彼らを否定することで自分を支えようとする猛。

 移民への憎悪、まひるとのすれ違い、家族の崩壊、人々を追い詰める不況。猛のなかで何かが膨れ上がってゆく―。

  ロードサイドに住まう若者たちの、出口の見出せない生活を描いた、映画「国道20号線」から2年。

  物語が、今動き出す。
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